眺めのいい部屋:A ROOM WITH A VIEW
20世紀初頭のイギリスとイタリアのフィレンツェを舞台にして、イギリスの良家の令嬢が旅先のフィレンツェで出会った情熱的な青年と少々退屈な上流階級の婚約者との間で揺れ動く気持ちを美しい映像で綴った、エドワード・モーガン・フォースター原作のラブ・ロマンスです。
映画好きが選んだ「何度見てもすごい50本」にも入っています。
イギリスの良家の令嬢ルーシー・ハニーチャーチ(ヘレナ・ボナム=カーター)は従姉妹で付添人のシャーロット(マギー・スミス)と一緒にフィレンツェを訪れるが、宿泊先にあてがわれた部屋は中庭に面した部屋であまり眺めが良くない。
その事に不平を漏らすシャーロットの言葉を聞いて、部屋の交換を申し入れてくれたのはエマソン氏(デナム・エリオット)とその息子のジョージ(ジュリアン・サンズ)だった。
社会的階級が自分たちよりも下のエマソン氏からの申し入れと言う事で、一度は部屋の交換を断ったシャーロットだったが、宿屋の宿泊客たちの説得もあって部屋の交換に応ずる。
翌日宿泊客たちは一緒にピクニックに出かけ、そこで皆とはぐれたルーシーは麦畑でジョージと出会い、無口ではあるが実は情熱的なジョージに突然口づけされてしまう。
しかしその事を知ったシャーロットは旅行を中断して、二人は急遽イギリスに帰国する。
帰国したルーシーは上流階級の青年シシル・ヴァイス(ダニエル・ディ・ルイス)と婚約するが、何かシシルに物足りなさを感じていた矢先、ルーシーの家の近所のコテージにエマソン氏が引越して来てルーシーはジョージと再会する。
とても淡々とした物語で大した事件が起こるわけでもありません。全体的に優雅で格調高い雰囲気が感じられる古風なロマンスですが、それでも当時のイギリスの階級問題などをさり気なく描いています。
ハリポタ・シリーズの悪い魔女べラトリックス役やスウィーニー・トッドで人肉パイを作るミセス・ラベット役、アリス・イン・ワンダーランドの赤の女王役など、最近ではどことなく不気味な怪女を演じる事が多いヘレナ・ボナム=カーターが、若くて可憐な良家の女性ルーシーを演じています。もっとも彼女は英国王のスピーチで良く出来た王妃役を素敵に演じていましたから、もともと演技の幅が広い人なんですね。
フィレンツェの観光案内のような景色やイギリスの田舎の田園風景なども見所の、落ち着いた美しい作品です。
製 作 | 1986年 イギリス |
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監 督 | ジェームズ・アイヴォリー |
出演者 | ヘレナ・ボナム=カーター ジュリアン・サンズ マギー・スミス |
音 楽 | リチャード・ロビンズ |