マジェスティック:THE MAJESTIC
ハリウッドに赤狩りの嵐が吹き荒れていた1950年代を舞台にして、赤狩りに遭って仕事をなくした脚本家が酔って川に落ちて記憶を失い、流れ着いた先の町で別人と間違わられた事から起こる出来事を描いたヒューマン・コメディです。
ハリウッドの新進脚本家ピーター(ジム・キャリー)は、学生時代に好きな女の子に誘われて出かけた集会が共産党と関連していた事で赤狩りに逢い、仕事を失ってしまう。
やけ酒を飲んで酔っ払いクルマを運転していたところ、クルマが橋から転落して頭を強打し、そのまま流されて見知らぬ田舎町ローソンの近くの海岸に漂着する。
意識は取り戻したものの記憶をなくしたピーターは、自分が誰か分からないまま町の食堂に入る。
そこに居たのが町の映画館の館主ハリー(マーティン・ランドー)で、ハリーはピーターを戦死したとされたものの遺体が発見されていなかった一人息子ルークと思い込み、喜びに震えながら自宅に連れて帰る。
優等生だったルークは、仲間を救うために戦死したとしてローソンの町の英雄になっていた。
その英雄のまさかの帰還は、町をあげての大歓迎会となる。ルークの婚約者だったアデル(ローリー・ホールデン)や、友人たちまでが彼を本人だと思い込んで歓迎する。
初めは半信半疑だったピーター本人も、ルークとして生きていく覚悟を決めて、戦争の傷跡が癒えていなかったローソンの町に明るさを取り戻そうと、町の人たちと一緒に廃墟と化していたハリーの映画館を再興するが、そんなある日・・・。
ノンポリで確固たる信念を持たず、善良だけど平凡な人物ピーターと、成績優秀で誰からも好かれ、戦場で戦友を救出して英雄となったルーク。
ある意味全く違う人物が、外見が似ていたことや偶然が重なって同一人物と間違われてしまう。
でもそれがラスト・シーンに上手くつながって行きます。
記憶を失って自分が誰だか分からないピーターに手を差し伸べたハリーや町の人々の善意も心を暖かくしてくれますし、ピーターとルークが同一人物なのか疑いながらも、ルークとは違った意味で好人物のピーターに惹かれるしっかり者のアデルも良いですね。
主演のジム・キャリーは芸の幅が広い上に、性格俳優のような真剣で深みの有る演技も出来ますけど、どこか明るさがあって管理人の好きな俳優の一人です。
この作品は2時間半以上もある長い映画ですけど、長さを感じないで楽しめる傑作ですね。劇中で使用される音楽が懐かしい感じがするし、管理人はこの作品がとても好きです。
また赤狩りに揺れた映画界や、当時の世相に対するオマージュというメッセージも強く感じました。
製 作 | 2001年 アメリカ |
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監 督 | フランク・ダラボン |
出演者 | ジム・キャリー ローリー・ホールデン |
音 楽 | マーク・アイシャム |