白夫人の妖恋

白夫人の妖恋

中国に伝わる「白蛇伝」に材を取った林房雄の小説「白夫人の妖術」を山口淑子と池部良主演で映画化した妖艶な雰囲気がいっぱいの幻想的な伝奇ロマンです。

東映がこの2年後に同じ題材で日本初の総天然色のアニメ「白蛇伝」を作っていますが、こちらの「白夫人の妖恋」はもっと大人向けの映画といった感じがします。

西湖のほとりに住む貧しい若者許仙(池部良)は、雨の日に白娘(山口淑子)という美しい娘に傘を貸す。

それがきっかけとなり、許仙に恋をした白娘は、許仙に結婚を申し込み支度金を渡すが、支度金として渡されたのは実は盗品であり、許仙は罪人として遠くの地に流されてしまう。

しかし白娘は流刑地まで許仙を追い恋心を告げ、白娘を恨んでいた許仙も彼女の気持ちに打たれ、白娘を妻に迎えて伴に暮すようになる。

しかしある日、許仙を見かけた道士の茅山道人(東野英治郎)に、お前は妖魔に魅入られていると警告され、許仙は妻の正体が白蛇の精だと言う事を知る。



この映画を管理人が観たのはまだ子供の頃だったと思います。

白娘の召使・小青役の八千草薫が可愛らしいのに比べて、主役の山口淑子は大人の女性で、当時の管理人の目から見たらオバさんに思えました。

でも激しい愛です。こういう愛は小娘には演じられないのでしょう。

正体がバレて寺に逃げ込んだ許仙を追いかけ取り戻そうとする白娘の凄まじさ・・・。怖いといえば怖いけど、あまりに深い愛はこうなるのではないでしょうか。

白娘を疑い恐れるものの、白娘の情に幾度となく絆されてしまう受け身の許仙は、元祖草食系男子といったところでしょうか。

子供向けに脚色された東映アニメの「白蛇伝」に比べて、愛が持っている激しさや辛さ哀しさ、そして愛が持つ力がもっと直線的に描かれていて、とても印象に残る映画です。


製 作 1956年 日本/香港
監 督 豊田四郎
出演者 山口淑子
池部良
八千草薫
東野英治郎
音 楽 團伊玖磨

 

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