追想:ANASTASIA
ロシア革命により全員が処刑されたとなっているロマノフ王朝の王族のうち、第4皇女のアナスタシア唯一人が、実は生き延びていたという説に基づいて映画化された作品です。
仲間とともにロマノフ王朝の巨額の遺産を狙うロシアの元将軍ボーニン(ユル・ブリンナー)は、生死不明だとされる皇女アナスタシアに似た女性を利用して王家の財産詐取を計画していた。
記憶喪失で精神病院にいた正体不明の女性アンナ(イングリッド・バーグマン)を見つけ出したボーニンは、彼女をアナスタシア皇女に仕立て上げて遺産を手に入れようとする。
アンナにさまざまなレッスンを施して、本物の皇女らしく見えるように教育するのだが、しかし時折アンナが示す仕草や記憶はまるで本当の皇女のようであった。
アンナは遺産には興味がないが、失った自分の記憶を取り戻して本当の自分が誰なのか知りたいと考えている。
そして厳しい態度でアンナに接するものの、何かと頼りになるボーニンに惹かれはじめる。
ボーニンはそんなアンナをなだめすかして、皇女アナスタシアとしてデンマークで暮らす皇太后(ヘレン・ヘイズ)との対面にまで漕ぎつけるが、ニセのアナスタシアに何度も会い、その度に失望を繰り返してきた皇太后は、端からアンナを偽物と決めつけて相手にしない。
そうした中で、ボーニンもアンナ=アナスタシアに惹かれはじめ、本来の目的を見失っていく。
ロシア革命に絡めた歴史ロマンを描いた映画で、管理人が好きな作品の一つです。
ハリウッドを追放されていたイングリッド・バーグマンが、2度目のアカデミー主演女優賞を得た作品で、全盛期に比べてやや衰えたとはいえ、美貌も演技も大女優の風格を感じます。
またユル・ブリンナーが、詐欺師のはずなのに卑屈な印象を全く感じさせない、クールで迫力があって自信たっぷりなロシア軍人を演じています。
何を隠そう、子供の頃にこの映画を観た管理人は、映画の話は本当の話でアナスタシア皇女は生きていたんだと思っていましたが、実際にはアナスタシアと名乗って出た女性は本物のアナスタシア皇女ではなかったという説のほうが有力なようです。
しかし作品は全体的に絢爛豪華で優雅で、往時のハリウッド映画の良さを感じる名作ですね。
製 作 | 1956年 アメリカ |
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監 督 | アナトール・リトヴァク |
出演者 | ユル・ブリンナー イングリッド・バーグマン |
音 楽 | アルフレッド・ニューマン |